TU-870R(真空管アンプKIT)製造中止2012/01/22 15:07


TU-870R
子供の頃は、家には未だ真空管のラジオがあり、テレビにも多くの真空管が使われていたが、既にトランジスタラジオが一般的であった。
中学生のときにゲルマニウムラジオに続いて作ったのが6石トランジスタラジオであり、以来、世知辛い世相の中、1815をはじめとする数々のトランジスタや幾多のCPU、オペアンプなど、八百万(ヤオヨロズ)の素子達とともに、ソリッドな? 人生を歩んで来たため、真空管を手にすることはほとんどなかった。
僅かに、AOPENのAX4GE TUBEというサウンド回路の一部に真空管(6DJ8)を使っている怪しいマザーボードに手を出してみたり、真空管アンプシミュレーターが付いたローランドのUSB音源(UA-4FX)を買ったりしたこともあるが、これは、一部の高級オーディオ機器では今尚使われている、真空管に対する強い羨望の気持ちを持ち続けているからにほかならない。
そうした中、低価格でありながらソコソコの音を出すと評価の高い、真空管アンプKIT TU-870Rが生産終了という、気になるニュースが目にとまった。
http://www.elekit.co.jp/topics/detail/00774

早速、アマゾンで検索すると 22,500円で在庫アリ。生産中止のニュースに「この機を逃しては」と背中を押されて注文。ただし、グレードアップキット(真空管の保護カバー+平滑コンデンサー)1,800円は在庫なし。
これも製造中止が決定しているので、なくなる前にと、今度はヨドバシドットコムを検索。1,990円だが在庫アリ。ポイント199円分を考慮すれば値段もそこそこ。これも購入を即決。

TU-870R箱
注文から2日後の1月16日に本体が到着
平日は時間がなく、なかなか制作に着手できないが、説明書に目を通して過ごす。
シャーシ等は全て加工済みであり、基本的には半田付けをして、ネジで止めるだけで完成させることができる。

6BM8
真空管は、ロシア製の6BM8が2本。ステレオアンプなので各チャンネル1本で機能を果たすというのだからアンプ用IC並みである。どんな音が出るのか?
シャーシなどもしっかりしており、期待が膨らむ。

グレードアップオプション
翌17日にはグレードアップキットが到着。

基板裏
ボチボチと、製作に着手。説明書に従ってミシン目の付いたプリント基板を切り離し、ベースピン21本を半田付け。

基板A表
今日の作業はここまで。
プリント基板には真空管ソケットのほか少数の抵抗とコンデンサーが載るだけであり、大変スッキリしている。
電源用のブリッジダイオード以外半導体は使われていない。電圧やインピーダンスの変換にトランスが使われている。何とも懐かしく、かつ、新鮮である。

基板A抵抗
18日は、ブリッジダイオードと抵抗を半田付け。

ソケット
真空管ソケットは、半田面に取り付ける。

基板B完成
基板その2にピンジャックを半田付け。基板その2は、これで完成。
今日はここまで。

基板A完成裏
19日から20日にかけてコンデンサーとボリュームを半田付け。

基板A完成表
基盤その1も、これで完成。
日付が変わって21日、いよいよ完成間近。8オームの適当なスピーカーがないため、ヨドバシドットコムでソニーのSS-B1000(6,620円)を注文。既にAM3時を過ぎている。寝床へ。

トランス取付
起床後、シャーシにトランスとスイッチ類を取り付ける。2つのトランスは、左右両チャンネルのインピーダンス変換用。電源用のトランスは、左側の箱の中に入っている。
スイッチのナットは、ケースに傷が付かないようにペンチにビニールテープを貼ってから締める。装着完了。
重厚感な雰囲気が中々よろしい。

ここで、気分転換に秋葉原を散歩。パーツ屋さんを見て回る。東芝製の6BM8が1本4,500円、ペアで9,500で売られていた。
この真空管はテレビ用に大量生産されていたようなので、国産品の在庫もしばらくはありそうだ。

基板取付
帰宅後、基板をシャーシに取り付け、配線類を一気に半田付け。配線類は、基板に直接ではなく、基板上のピンジャックに半田付けするので、基板をシャーシに固定してから行うことができる。

本体部分完成
基本的なところは、これで完成。真空管を付ければ、機能するはず。

SS-B1000箱
完成間近の21日夕方、スピーカーも到着。

完成フロント
 
真空管をソケットにはめ込み、ボリュームのつまみとフロントパネルを取り付け、シールを貼り、真空管保護用のメッシュのカバーをねじ止めして完成。
電源を入れると真空管のヒーターが赤く点灯

完成リア
入力は2系統切替式
INPUT1にi podをつないでみる。
温かみのある、なかなか良い音を出しており、ノイズもほとんど聞こえない。
ソースの音量をある程度高くする必要はあるが、チャンネルごとに1球でここまで音が出せるのは、大したものだと思う。

完成ななめ
日本で真空管が製造されなくなってから久しいが、少なくともオーディオアンプの分野では、その存在価値は失われていない。
高性能で廉価な本キットの製造中止は、大変残念である。

東芝製6BM8 ペアを購入 定価は1本490円2012/01/28 18:07


東京ラジオデパート


 放射冷却によって冷え切った土曜日の朝、首都圏直下型地震の到来を予感させる連日の地震に肝を冷やしながら、秋葉原を散歩。今日は、古き良き昭和時代の時間の一部が凍結したような「東京ラジオデパート」へ。名前からして如何にも昭和な雰囲気のこの店舗群は、木造2階建てのときから「デパート」と称していたらしい。 
 この「デパート」の2階に、真空管取扱店として定評のある「株式会社キョードー」の店舗がある。
 ここで、先日完成したアンプ用の真空管を物色する。
 国産の6BM8は、AWA(松下電器のOEMとのこと。ペアで4,000円)と東芝(ペアで7,000円)の物が置いてあった。東芝製を購入。



 
 
 
 
 
 
東京芝浦電気製6BM8ペア
 


ペアの内、1本は未開封。
箱は、同じサイズの真空管の汎用のようで、箱の上面の白地の部分に型番と当時の定価が「6BM8 \490」と、いかにも後から印字したような、ゴム印レベルの品質の文字で書かれている。未開封の箱はセロファンで包まれているので、この文字は、製造ラインでセロファンに包まれる前に印字されたものに違いない。昭和時代は物価が大きく変動した時代なので、定価から製造された時期が特定できるかも知れない。


東芝製6BM8中身
 


箱から出してみると、できたての新品のように大変きれい。
硝子製で中は真空なので、使用しない限り経年で劣化する部分が少ないのだろう。
未開封の方の箱を開けるのは勿体ないような気もするが、少なくとも不良品チェックは交換のできる1週間以内にしておかなければいけない。


東芝製6BM8装着

 

開封してアンプに装着。
スイッチオン。


東芝製6BM8作動中

 

露出を落として、ヒーターの光を撮影。
ロシア製の真空管は、最初の1日、2日はヒーターの光も弱く、使っているうちに徐々に明るくなり、音も太くなっていったが、東芝制は最初から明るく、音もしっかりと出ているように感じる。
製造の過程で、ある程度エージングのような処理がされているのかも知れない。

ヴィンテージサウンドのエージング真空管 特許出願中2012/01/28 21:59


保証書

秋葉原から帰り、東芝製の真空管を写真に撮ったり、アンプに挿したりしている間に、ヴィンテージサウンドから特許出願中とされる独自の方法でエージングされた真空管が届いた。
2日前、今年十数回目の新年会の帰り、電車の中でスマホからアマゾン経由で注文していたものだ。12時間エージング済みのペアで3,800円。ただし、送料が1,000円かかるので、総額4,800円。メーカーはキットに入っていたのと同じエレクトロハーモニクス社。ロシアの会社である。

箱に貼ってあるラベル


箱には測定データを記載したラベルが貼られている。
日本の工業所有権制度上、エージングの方法そのものが特許権の対象となるか否かはともかく、一本一本チェックがされているということだけでもありがたい。