東芝製6BM8 ペアを購入 定価は1本490円2012/01/28 18:07


東京ラジオデパート


 放射冷却によって冷え切った土曜日の朝、首都圏直下型地震の到来を予感させる連日の地震に肝を冷やしながら、秋葉原を散歩。今日は、古き良き昭和時代の時間の一部が凍結したような「東京ラジオデパート」へ。名前からして如何にも昭和な雰囲気のこの店舗群は、木造2階建てのときから「デパート」と称していたらしい。 
 この「デパート」の2階に、真空管取扱店として定評のある「株式会社キョードー」の店舗がある。
 ここで、先日完成したアンプ用の真空管を物色する。
 国産の6BM8は、AWA(松下電器のOEMとのこと。ペアで4,000円)と東芝(ペアで7,000円)の物が置いてあった。東芝製を購入。



 
 
 
 
 
 
東京芝浦電気製6BM8ペア
 


ペアの内、1本は未開封。
箱は、同じサイズの真空管の汎用のようで、箱の上面の白地の部分に型番と当時の定価が「6BM8 \490」と、いかにも後から印字したような、ゴム印レベルの品質の文字で書かれている。未開封の箱はセロファンで包まれているので、この文字は、製造ラインでセロファンに包まれる前に印字されたものに違いない。昭和時代は物価が大きく変動した時代なので、定価から製造された時期が特定できるかも知れない。


東芝製6BM8中身
 


箱から出してみると、できたての新品のように大変きれい。
硝子製で中は真空なので、使用しない限り経年で劣化する部分が少ないのだろう。
未開封の方の箱を開けるのは勿体ないような気もするが、少なくとも不良品チェックは交換のできる1週間以内にしておかなければいけない。


東芝製6BM8装着

 

開封してアンプに装着。
スイッチオン。


東芝製6BM8作動中

 

露出を落として、ヒーターの光を撮影。
ロシア製の真空管は、最初の1日、2日はヒーターの光も弱く、使っているうちに徐々に明るくなり、音も太くなっていったが、東芝制は最初から明るく、音もしっかりと出ているように感じる。
製造の過程で、ある程度エージングのような処理がされているのかも知れない。

TU-870R(真空管アンプKIT)製造中止2012/01/22 15:07


TU-870R
子供の頃は、家には未だ真空管のラジオがあり、テレビにも多くの真空管が使われていたが、既にトランジスタラジオが一般的であった。
中学生のときにゲルマニウムラジオに続いて作ったのが6石トランジスタラジオであり、以来、世知辛い世相の中、1815をはじめとする数々のトランジスタや幾多のCPU、オペアンプなど、八百万(ヤオヨロズ)の素子達とともに、ソリッドな? 人生を歩んで来たため、真空管を手にすることはほとんどなかった。
僅かに、AOPENのAX4GE TUBEというサウンド回路の一部に真空管(6DJ8)を使っている怪しいマザーボードに手を出してみたり、真空管アンプシミュレーターが付いたローランドのUSB音源(UA-4FX)を買ったりしたこともあるが、これは、一部の高級オーディオ機器では今尚使われている、真空管に対する強い羨望の気持ちを持ち続けているからにほかならない。
そうした中、低価格でありながらソコソコの音を出すと評価の高い、真空管アンプKIT TU-870Rが生産終了という、気になるニュースが目にとまった。
http://www.elekit.co.jp/topics/detail/00774

早速、アマゾンで検索すると 22,500円で在庫アリ。生産中止のニュースに「この機を逃しては」と背中を押されて注文。ただし、グレードアップキット(真空管の保護カバー+平滑コンデンサー)1,800円は在庫なし。
これも製造中止が決定しているので、なくなる前にと、今度はヨドバシドットコムを検索。1,990円だが在庫アリ。ポイント199円分を考慮すれば値段もそこそこ。これも購入を即決。

TU-870R箱
注文から2日後の1月16日に本体が到着
平日は時間がなく、なかなか制作に着手できないが、説明書に目を通して過ごす。
シャーシ等は全て加工済みであり、基本的には半田付けをして、ネジで止めるだけで完成させることができる。

6BM8
真空管は、ロシア製の6BM8が2本。ステレオアンプなので各チャンネル1本で機能を果たすというのだからアンプ用IC並みである。どんな音が出るのか?
シャーシなどもしっかりしており、期待が膨らむ。

グレードアップオプション
翌17日にはグレードアップキットが到着。

基板裏
ボチボチと、製作に着手。説明書に従ってミシン目の付いたプリント基板を切り離し、ベースピン21本を半田付け。

基板A表
今日の作業はここまで。
プリント基板には真空管ソケットのほか少数の抵抗とコンデンサーが載るだけであり、大変スッキリしている。
電源用のブリッジダイオード以外半導体は使われていない。電圧やインピーダンスの変換にトランスが使われている。何とも懐かしく、かつ、新鮮である。

基板A抵抗
18日は、ブリッジダイオードと抵抗を半田付け。

ソケット
真空管ソケットは、半田面に取り付ける。

基板B完成
基板その2にピンジャックを半田付け。基板その2は、これで完成。
今日はここまで。

基板A完成裏
19日から20日にかけてコンデンサーとボリュームを半田付け。

基板A完成表
基盤その1も、これで完成。
日付が変わって21日、いよいよ完成間近。8オームの適当なスピーカーがないため、ヨドバシドットコムでソニーのSS-B1000(6,620円)を注文。既にAM3時を過ぎている。寝床へ。

トランス取付
起床後、シャーシにトランスとスイッチ類を取り付ける。2つのトランスは、左右両チャンネルのインピーダンス変換用。電源用のトランスは、左側の箱の中に入っている。
スイッチのナットは、ケースに傷が付かないようにペンチにビニールテープを貼ってから締める。装着完了。
重厚感な雰囲気が中々よろしい。

ここで、気分転換に秋葉原を散歩。パーツ屋さんを見て回る。東芝製の6BM8が1本4,500円、ペアで9,500で売られていた。
この真空管はテレビ用に大量生産されていたようなので、国産品の在庫もしばらくはありそうだ。

基板取付
帰宅後、基板をシャーシに取り付け、配線類を一気に半田付け。配線類は、基板に直接ではなく、基板上のピンジャックに半田付けするので、基板をシャーシに固定してから行うことができる。

本体部分完成
基本的なところは、これで完成。真空管を付ければ、機能するはず。

SS-B1000箱
完成間近の21日夕方、スピーカーも到着。

完成フロント
 
真空管をソケットにはめ込み、ボリュームのつまみとフロントパネルを取り付け、シールを貼り、真空管保護用のメッシュのカバーをねじ止めして完成。
電源を入れると真空管のヒーターが赤く点灯

完成リア
入力は2系統切替式
INPUT1にi podをつないでみる。
温かみのある、なかなか良い音を出しており、ノイズもほとんど聞こえない。
ソースの音量をある程度高くする必要はあるが、チャンネルごとに1球でここまで音が出せるのは、大したものだと思う。

完成ななめ
日本で真空管が製造されなくなってから久しいが、少なくともオーディオアンプの分野では、その存在価値は失われていない。
高性能で廉価な本キットの製造中止は、大変残念である。

絶滅危惧種CE機のお茶目なキーボード2011/08/29 00:00


お茶目なキーボード

 WindowsCE機 AKART AK-PCAP1 のセールスポイントの一つはオリジナルキー配列を謳う、日本語80キーボードだが、このキーボードは、なかなかお茶目である。
 本来なら仮名の「る」があるべき位置のキー(右下の方)に「ゐ」と刻印されている。オリジナリティあふれる配列に期待が膨らみむが、残念ながら単なる印字のミスで、打ては普通に「る」と認識される。
 一方、期待を裏切らないのが、スペースキーの両側に配置されている「変換」キーである。これも印字ミスで左側は「無変換」の間違いだろうと思ったら大間違いで、両方とも「変換」キーとして機能する。
 では、「無変換」キーはというと、どこにも見あたらない。 さらに、「F6」や「F7」で平仮名や片仮名に変換することもできない。日本語入力には適さないが、「平仮名の読み書きさえ満足にできないが、会話なら片言の日本語がそこそこ話せる、気さくでお茶目で外国人のような」、どこか憎めないキーボードである。
 このキーボードで仮名入力をする人がどれだけいるかわからないが、「も」の下に「へ」があったり、その右2つ横には「む」があったり、この変則的なキー配列に慣れてしまったら、あとで相当苦労することになるだろう。
 安いからといって、子供に玩具として与えてはいけない。「子供の手の届くところには、置かないようにしてください。」という注意書きが必要なキーボードである。

絶滅危惧種 Windows CE6.0機 8,499円2011/08/28 14:22


AKART AK-PCAP1

 「あきばおー」で通常価格8,999円のAK-PCAP1(AKART社のWindowsCE6.0機) が、決算セール特価8,499円で売られていた。 
 「ネットブック型PDA」という、競合機種がほとんど存在しない何とも中途半端なジャンルの新製品として、昨年、発売された機種である。発売当時も、1万5千円弱という低価格を売りにしていたが、更に低価格化が進み、8,500円を割ってしまった。
 円高でなければ、100ドルPCといえたかもしれないほど低価格な、PCモドキである。

EeePCとの比較

 ネットブック(右側。EeePC901)よりもひと回り小さく、重さも650gと大変軽い。


EeePCとの比較2

 画面は7インチワイドサイズで、EeePC901の8.9インチと比べてひと回り小さく、表示ドット数もネットブックの1024×600に対し、800×480と1ランク少ない。
 一方、キーボードのサイズは、ほぼ、同じであり、打ち辛いところは、どちらも同程度である。

Mobile Gear II との比較

 往年のWindowsCE機MobileGearIIと比べると、流石に画面はモノクロ液晶と比べて隔世の感があるが、キーボードは、大幅に打ちにくくなっている。キーボードの奥行きはほぼ同じだが、横幅が少し狭くなっている。この、横幅の少しの違いが、打ちやすさの点で、驚くほど大きな差となっている。
 今はすっかり使わなくなってしまったMobileGearIIだが、キーボードが秀逸で、文字入力には最適のマシンだった。

ポメラとの比較

 ポメラとも比較してみた。ポメラとMobileGearIIのキーボードが、ほぼ、同じサイズであることに、改めて気が付き、ナルホドと思った。
 AK-PCAP1をポメラのライバルのように評価する向きもあるようだが、本機のキーボードは、ポメラやMobileGearIIとは、まったく比較にならないと思う。
 

CPUクーラーの換装(ヒートパイプの威力)2011/04/17 19:06


リテールクーラー
インテルチップの不具合が見つかったため無償交換の対象になっていたマザーボード(ASUS P6H67-M EVO)を宅配業者を介して交換し、CPU及びメモリーの乗せ替えも完了した。
 チップの不具合を回避するため、暫定的に背後のeSATAポートに接続していたBlurayドライブも内部のSATAポートに接続し直すことにした。
 Blurayドライブは、eSATAポートの相性問題のため暫定的にLG製ドライブを接続していたが、SATAポートは問題ないので、接続ポート変更を機にPIONEER製ドライブに戻すことができた。
 BIOS設定後、OS(Windows7)を起動しようとしたところ、これまでと異なるハードウェアと認識されたようで、プラグ&プレイが確立して各ドライバーがインストールされるのに時間を要したためか、起動画面が表示されるまで大分待たされた。それでも、OS再インストールの必要はなく、無事に起動させることができた。

 基本的な環境も整い、改めて細部を見ていくと、CPUの温度が高いことが気になった。
 リテールクーラーを使っていたが、BIOS画面を出していると、あっという間に60度台後半になってしまう。
 以前から少し高めだったような気もするが、乗せ替えの際のグリスの塗り方にも問題があったのかもしれない。
 しかしながら、グリスを塗りなおすためにクーラーを外すくらいなら、もう少し冷えそうなものに換装しようと思い立った次第である。
  
ヒートパイプ式CPUクーラー

 店頭にはインパクトのあるデザインのいかにも冷えそうなクーラーがたくさん並んでいるが、MicroATXのボードでケースも小型のため、ケースに収まるよう、特に大きさを重視して、CoolerMasterのVortexPlusを購入した。  
 ソフマップで3,980円だった。
 
特殊形状ブレードのファン

 この手のパーツを買う際に、いつも気になるのはファンの性能や耐久性、特にベアリングの方式である。
 この製品は「BladeMaster」というファンを売り物にしており、わざわざCoolerMaster社のロゴマークまで付いている。波打つような形状に特色があるようだが、残念ながらベアリング方式はスリーブ・ベアリングである。
 もっとも、ファンの固定方法はネジ式ではなくバネ式で、着脱もワンタッチなので、92mmサイズの手ごろなファンが見つかれば、容易に交換することができるようになっている。

CPUクーラー側面

 この製品を最も特徴付けているのは、CPUとヒートシンクをつないでいる、4本のヒートパイプである。
 ヒートパイプはCPUとダイレクトに接触しており、熱はアルミ製ヒートシンクに即座に(音速で)運ばれることになる。
 結果は思った以上に良好で、CPUの温度を10度以上下げることができた。

 これまでヒートパイプについては、見かけが派手な分、胡散臭さく感じられ、効果については偏見を持っていたが、今回、熱伝導率が銅の100倍ともいわれるその威力を再認識することができた。

 ここで、ヒートパイプの動作原理について、改めて考えてみる。
 
 ヒートパイプの中身は、水と水蒸気で満たされている。よく、中が真空になっているという説明を見かけることがあるが、真空にするのは製造過程での話である。気圧が低ければ低い温度で水が沸騰するので、管の中は結果として、水と水蒸気で満たされることになる。水と水蒸気の比率は、気温の変化によって変化し、同時に内部の気圧も変化することになる。
 さて、CPUに接触している側のヒートパイプが温められると、熱を奪いながら水が水蒸気に変化し、同時に内部の圧力が上昇する。
 水蒸気圧の変化は、瞬時に(音速で)ヒートシンク側に伝わり、圧力の上昇に伴い、ヒートシンク側の温度も上昇する。
 ヒートシンクを介して熱が奪われると水蒸気は結露し、同時に圧力が下がる。
 結露した水は、パイプの内側に張り巡らされた毛細管構造に吸い込まれ、乾燥しているCPU側に供給される。
 
 これら一連のプロセス、すなわち、CPU側の乾燥・圧力上昇とヒートシンク側の結露・圧力減少 が同時に起こり、その結果、熱が瞬時に(音速で)移動する。 というイメージである。

 「真空の管内を蒸気が音速で移動する」という説明もよく眼にするが、これでは、宇宙船に開いた穴から空気が抜けるような勢いで白い湯気が移動するような光景が浮かんでしまい、少しイメージが違うような気がする。

 ヒートパイプ内では、熱が気体の圧力の変化に形を変えて移動するので、音(その正体は気体の圧力の変化)と同じ速さで伝わるということだと 自分なりに理解している。